世界トップ投資家の共通言語

今年2月に共著書「世界トップ投資家の共通言語」を日経BP社より出版いたしました。出版から半年が経過し、上場企業および未上場企業の経営者や現場の方々に限らず、企業価値向上やコーポレートガバナンスの改善、アクティビスト対策や株価対策といった多角的な観点で日本企業の皆様と関わる法律事務所やコンサルティング会社の経営者の方々にも高く評価いただいております。本書は、これらの問題に取り組むための解決策の包括的な入り口を提供することを目的として執筆しました。

日本には優れた技術、ブランド、そして高度な教育を受けた優秀な人材など、多くの貴重な資産があります。さらに、ここ数年はコーポレートガバナンスの改善の風が吹いており、世界の投資家にとって魅力的な企業が数多く存在します。実際、私たちの周りには「日本市場に投資したい、投資額を増やしたい」と考える投資家が大勢います。しかし、彼らが普段使用している投資分析手法を日本企業に当てはめた際に、「何かが腑に落ちない」と感じて投資を見送ってしまうことがよくあります。

「腑に落ちない何か」について話し合い、私たちがたどり着いた仮説は、「世界の投資家と『共通言語』で話していない」ことです。これは、単に英語を流暢に話すこととは異なります。投資対象を分析する際、経営者と対話することが多いのですが、共通言語で話していないために相手の意図が伝わらず、質問してもその答えが的を射ていないと感じるのです。その結果、事業が適正に評価されず、「腑に落ちない」と見送られてしまうのです。

私たち日本人からすれば、投資対象として根本的な問題はなく、むしろ評価に値する要素は多々あります。しかし、そのような現状が繰り返されているのを見て、「日本はもったいない」との思いを強くしました。

「そのもったいないを少しでも解消したい」。これが、本書を執筆する原点です。

資本市場の視点から物事をとらえる

「共通言語を理解してもらうにはどうすればいいだろうか」と試行錯誤した結果、世界のトップ投資家が発する「フレーズ」に注目しました。フレーズには投資家の意図が込められており、それを理解することは共通言語を習得する近道だと考えました。これらのフレーズは、資金をコミットすべきか判断する際に投資対象に対して投げかける質問や、投資対象を精査するときに使用するもので、いわば資本主義的価値に基づいたものです。

本書では、このような質問やフレーズを紹介することで、日常的に投資家思考に触れる機会の少ないビジネスパーソンなどに向けて、資本市場の視点から物事を捉えるためのきっかけを提供することを目的としています。また、ベンチャー業界の関係者には上場企業投資家の思考プロセス、上場企業や大企業の関係者にはベンチャーキャピタリストが投資先を評価する方法を理解していただくための内容となっています。

初の著書で至らぬ点も多々あるかと思いますが、ぜひ手に取ってご一読いただければ幸いです!

Newsletter 

ニュースレターにご登録いただくと、最新ブログ記事や、購読者限定のコンテンツ、イベント情報等をお届けします。

Picture of admin
admin
上部へスクロール