【更新日時】2026-01-27 / 06:00 JST
Top5重要グローバルヘッドライン統合整理(2026年1月27日)
**【1】金価格が史上初の5,100ドル突破、構造的需要シフトが鮮明に
金価格が1月26日にスポット価格5,102ドルでピークを記録し、史上最高値を更新した。銀も4.9%上昇し107.9ドル/オンスに到達している。BBC World Business Report、FT News Briefing、複数の金融ニュースソースが本件を報じた。
Goldman Sachsは2026年12月の金価格予想を4,900ドルから5,400ドルに引き上げた。同行は「マクロ政策リスクヘッジが粘着的(sticky)になった」と分析し、2024年米大統領選後に解消された選挙関連ヘッジとは異なり、財政持続性への懸念が2026年も継続すると見ている。需要基盤も伝統的な中央銀行・ETFに加え、富裕層の実物購入が新たな需要源として定着しつつある。中央銀行購入は月平均60トン(2022年以前の17トンから大幅増)、欧米ETFには2025年初から約500トン流入した。
地政学リスクも金価格を押し上げている。グリーンランド、ベネズエラ、中東情勢の緊張が複合的に作用し、安全資産への逃避が加速している。HSBCは「グリーンランドをめぐる地経学的問題が金・銀価格の直近の上昇をもたらした」と指摘した。
日本市場への示唆として、円建て金価格はドル建て金価格上昇に加え、円安進行時は二重の上昇圧力を受ける。日本の機関投資家・富裕層も金への配分見直しを検討する可能性がある。商社や住友金属鉱山など金関連銘柄への資金流入も期待される。日銀の金融政策正常化が遅れる中、実物資産へのヘッジ需要が高まる可能性がある。
市場は金価格上昇を部分的に織り込んでいるが、Goldman Sachsの5,400ドル目標は現在価格から約6%の上昇余地を示唆している。地政学リスクのさらなる悪化は織り込み不足の可能性がある。**
**【2】米国政府閉鎖リスクが79%に急上昇、移民政策めぐる分断が深刻化
ミネアポリスでの連邦捜査官による市民射殺事件(1月24日)を受け、米国政府閉鎖の確率が30%から79%に急上昇した(予測市場Polymarket)。FT News Briefingが詳細を報じ、複数の金融ニュースソースが市場への影響を分析している。
上院民主党は国土安全保障省(DHS)予算を含む歳出法案への支持を拒否している。被害者のAlex Pretti(37歳、集中治療看護師)の射殺をめぐり、映像が当局の主張と矛盾したことで、民主党は移民税関執行局(ICE)の改革を要求している。上院少数党院内総務Chuck Schumerは「ミネアポリスでの紛争は嘆かわしく受け入れがたい」と述べ、DHS予算法案への反対を表明した。ネバダ州のJacky Rosen上院議員も「ICEの権力乱用を抑制するガードレールが整うまで、政府予算案に反対する」と声明を発表した。
1月31日(土曜日)に複数の連邦機関の予算期限が到来する。コネチカット州のChris Murphy上院議員は、トランプ大統領がDHS予算を切り離してICE改革を別途議論すれば、政府閉鎖は「簡単に」回避できると指摘した。共和党内からもトランプ政権の移民取締への批判が浮上しており、政治的分断は党派を超えて広がっている。
UBSのPaul Donovanは顧客向けメモで、部分的政府閉鎖のリスクは昨年よりも混乱が少ないと指摘した。下院が休会中で、降雪により上院も少なくとも水曜日まで閉鎖されているため、閉鎖確率が高まっているという。Moody’sのMark Zandiは、政府閉鎖は通常GDPへの影響が一時的で再開後に回復するが、メリーランド州・バージニア州など連邦政府関連雇用が多い地域には局地的影響があると述べた。
日本市場への示唆として、政治不安定性が高まればドル円に短期的な売り圧力がかかる可能性がある。米国株の調整局面では日本株も連動して下落リスクがある。米国防総省予算への不透明感は日本の防衛関連企業にも波及する可能性がある。トランプ政権の関税政策や対中政策など、日本企業に影響する政策の実行可能性にも疑問符がつく。
市場は政府閉鎖リスクを部分的に織り込んでいるが(予測市場で79%)、株式市場は楽観的な見方を維持している。閉鎖が長期化した場合の影響は織り込み不足と見られる。**
**【3】FRB議長人事の不透明感、金融政策の方向性に市場が注視
トランプ大統領がパウエルFRB議長(5月任期満了)の後任を決定したと発表したが、人選は明らかにされていない。FT News Briefingが詳細を報じた。
候補者はRick Rieder(BlackRock債券部門責任者、ベッティング市場で有力)、Kevin Warsh(元FRB理事、ウォール街に人気)、Christopher Waller(現FRB理事、FED内部で支持)の3名に絞られた。Kevin Hassett(国家経済会議委員長)は候補から外れた。FTのClaire Jonesによれば、Riederはトランプ大統領との面談が好調で、ウォール街と上院の両方で受け入れられやすい人物と見られている。Warshは極めて人脈が広く、ウォール街との関係が深いが、トランプ大統領が望む大幅利下げに応じるかは不透明だ。Wallerは米国経済界が最も支持する候補だが、同様に大幅利下げへの姿勢が不明確だ。
FTのJonesは、FRB議長は影響力のある人物だが、金利を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)では12人の投票メンバーのうちの1人に過ぎないと指摘した。現在、委員会は労働市場の弱体化とインフレ目標未達成のどちらを優先するかで意見が分かれている。新議長が大幅利下げを求めても、FOMC全体の賛同を得るのは困難な可能性がある。
上院はパウエル議長への司法省調査に反発しており、トランプ寄りの候補は承認が難航する可能性がある。今週中に発表される可能性があるが、市場は金融政策の方向性とFRBの独立性を注視している。
日本市場への示唆として、FRB議長交代が利下げ加速につながれば、日米金利差縮小でドル円が下落する可能性がある。米国の利下げ加速は円高要因となり、日本の輸出企業に逆風となる。FRBの政策転換は日銀の正常化ペースにも影響を与える。FRBの独立性低下は新興国を含む世界的な資本フローに影響を及ぼす可能性がある。
市場は候補者リストを部分的に織り込んでいるが、誰が選ばれるか、その人物の政策スタンスは不透明だ。FRBの独立性低下リスクは織り込み不足の可能性がある。**
**【4】トランプ政権がレアアース企業に16億ドル投資、産業政策の拡大に企業幹部が懸念
トランプ政権が米国のレアアース企業USA Rare Earthに16億ドルを投資し、約10%の株式を取得すると発表する予定だ。FT News Briefingが詳細を報じた。これはレアアース分野で米国政府による過去最大の投資となる。
FTのJames Fontanella-Khanによれば、この投資は国家安全保障と対中競争が主な動機だ。中国は世界のレアアース採掘の70-80%を支配しており、防衛産業、AI産業、半導体産業、電気自動車産業などがレアアースに依存している。中国政府がこれらの資源へのアクセスを遮断するリスクがあるため、米国政府は注力を強化している。これはトランプ大統領の広範な産業政策の一環だ。
米国政府が民間上場企業の株式を取得するのは珍しい。昨年、政府はIntelに10%出資し、日本製鉄によるUS Steel買収承認後にゴールデンシェアを取得した。欧州では政府が企業株式を保有することは一般的だが、米国には明確な枠組みがない。
Fontanella-Khanは、企業幹部やディールメーカーとの会話から、水面下では大きな不安と懸念があると述べた。主な懸念は、トランプ大統領が「勝者と敗者を選んでいる」ことで、これは伝統的に資本主義社会として知られる米国とは相容れない。政府が競合企業に投資した場合、自社に不利になる可能性がある。Intelは政府投資後に株価が約100%上昇した(最近まで)。一方で、国家安全保障上の課題に対処する必要性は認識されており、より良い枠組みが必要だという意見もある。
日本市場への示唆として、日本のレアアース関連企業(住友金属鉱山、昭和電工など)は米国市場での競争環境変化に直面する。日米連携によるレアアースサプライチェーン構築の可能性もある。米国の積極的産業政策は日本政府の政策にも影響を与える可能性がある。レアアース依存は日本も同様の課題であり、代替調達先確保の重要性が高まる。
市場は産業政策の拡大を部分的に織り込んでいるが(Intel投資の前例あり)、規模拡大は織り込み不足の可能性がある。長期的な競争環境への影響は不透明だ。**
**【5】英国首相が8年ぶり訪中、米国同盟国の対中接近が加速
キア・スターマー英国首相が今週、8年ぶりに中国を訪問する。FT News Briefingが報じた。これは米国との関係が悪化する中、ロンドンが北京との関係を再構築しようとする動きだ。
今月初めにカナダのMark Carneyも訪中し、オタワは「新たなグローバル現実」に適応するために中国との新たなパートナーシップを構築すると述べた。この発言はホワイトハウスを激怒させ、新たな関税脅威を引き起こした。北京にとって、スターマー首相の訪問は、米国との大西洋横断の亀裂を利用して別の米国の緊密な同盟国を引き込む機会となる。
協議は不法移民、組織犯罪、金融協力に焦点を当てる見込みだ。中国は、ワシントンからの安全保障上の警告にもかかわらず、英国市場へのより大きなアクセスを求める見通しだ。
この動きは、トランプ政権の一方的な政策が同盟国を中国に接近させる構図を浮き彫りにしている。米中対立の中、第三国が中国市場へのアクセスを優先する動きが加速している。英国市場の開放圧力が高まる一方、米国は安全保障上の警告を発しており、英国は難しい選択を迫られている。
日本市場への示唆として、日本も米中の間でバランスを取る必要性が高まる。英国・カナダの対中接近は、日本企業の中国市場でのポジションに影響を与える可能性がある。米国の対中強硬策と同盟国の対中接近が並存し、企業は難しい選択を迫られる。英国金融機関の対中ビジネス拡大は、日本の金融機関にも圧力となる可能性がある。
市場はトランプ政権の同盟国軽視を部分的に織り込んでいるが、英国・カナダの対中接近の速度は予想以上だ。日本企業への具体的影響は織り込み不足と見られる。